5つの観点から業界の環境分析を行うファイブフォース分析をご存知でしょうか。どの要素も、企業や個人が、業界内で生き残るためには、考慮しなければならないものばかりです。本記事ではファイブフォース分析の概要についておさらいしながら、実際の企業を事例にファイブフォース分析を行います。これからファイブフォース分析を行う方は、是非参考にしてください。, ファイブフォース分析は、自社や業界の状況を分析でき、業界内で生き残るために必要なことや、改善点を見つけ出すことができます。ファイブフォース分析は、競争戦略論を著したマイケル・ポーターが提唱したもので、「新参参入の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「代替品の脅威」「競合企業の脅威」の5つの要因により、業界全体の収益性を決めるものです。この5つの力が強いほど、会社や業界全体の魅力に繋がります。分析内容を簡単におさらいしておくと、以下の5つです。, 今回は、飲料メーカー最大手のコカ・コーラ社を事例に、上記の5つを当てはめます。ファイブフォース分析の概要は理解はしたけど、実際のやり方については理解できていないという方は、この事例を元にして一緒に取り組みましょう。, まずは、新参参入の脅威です。コカ・コーラ社が所属する市場は飲料メーカーが競合にあたります。飲料メーカーは、他の業界と比べて新参企業の参入が少ない傾向にあります。そのため、コカ・コーラ社にとって新参参入影響は少ないと言えます。しかし、一概に飲料メーカーと言っても、清涼飲料水や栄養ドリンク、アルコールなど取り扱っている飲料の種類は様々です。競合企業がこれまでは、参入していなかった飲料の種類へ、参入することは、十分な可能性を秘めているため、一概に脅威がないとは言えません。一例として、日本では、コカ・コーラ社が扱うことのなかった、アルコール飲料の展開を、2019年より開始しました。これにより、アルコールを扱う競合他社にとっては、新参参入の脅威と言えるでしょう。, 売り手の交渉力を、コカ・コーラ社へ当てはめると、飲料の原料となる水やブドウ糖液、香料などが該当します。コカ・コーラ社は、世界進出しており、供給先についても世界中に多数保持しているため、供給会社に対する価格交渉力は高いと言えるでしょう, 買い手の交渉力をコカ・コーラ社に当てはめると、飲料を購入する一般消費者が該当します。買い手の交渉力の強さは、他社の商品と差別化されているかどうかや、買い手の情報量によって変わります。例えば、いつも飲むコカ・コーラ社の飲料を、アサヒ社の飲料に代えても、消費者にとってのコストや品質は変わらないため、キャンペーンやPRの打ち出し方等、どれだけ差別化された商品かが、競合他社を勝ち抜くカギになります。, 代替品の脅威をコカ・コーラ社に当てはめると、粉末のホットドリンクや、カフェや居酒屋などの外食産業も当てはまります。しかし今は、コロナウイルスの影響で外食産業の、工場での生産が止まっているため、コカ・コーラ社のような飲料メーカーが優位な状態だと言えます。, 競合他社の脅威をコカ・コーラ社に当てはめると、日本市場における、競合他社は、アサヒ社、キリン社、サントリー社、伊藤園社、ヤクルト社、ダイドー社などが該当します。競合は、多いほど競争が激化します。そのため、コカ・コーラ社から、競合企業を見ると、驚異が多く、市場での激化が予想できます。ただ、IT業界のように、流動性が高く、成熟していない業界の方が、飲料業界などの成熟している業界と比べ、競争が激しいと言われています。飲料業界はその点、競合企業の脅威も低いと言えるでしょう。, 今回はファイブフォース分析についての解説を、コカ・コーラ社の事例を元に行いました。ファイブフォース分析は、業界を生き抜いていく上での環境調査として、非常に重要です。これを機に、自社を5つの脅威に当てはめ、ファイブフォース分析を行ってみてください。, ユーザーの行動データ、コンテンツの興味関心ごとを細部まで可視化しユーザーの気持ちを深く直観的に理解できます。, サイトに訪れたユーザーの属性や、LTV に合わせコンテンツを届け、ユーザー体験を最大化させます。, 様々なビジネスデータを集約することで、カスタマ―ジャーニーのような一気通貫したユーザー行動が理解できます。ペルソナ設計からLTV向上、全体の予算配分の最適化までサポートします。, EFOに取り組んだことはありますか?EFO対策は、Webサイトの離脱率を改善し、コンバージョン数を増やします。この記事ではEFO対策の基本、実施する際にオススメのチェックポイントをご紹介します。, ランディングページを改善する施策であるLPO(ランディングページ最適化)にかかる工数を削減し、誰でも簡単に改善内容を実装できるLPOツールを3つご紹介します。, ランディングページに訪れるユーザーを分析し、ニーズに沿ったコンテンツへ最適化を図ることをLPOと言います。この記事ではLPOに取り組む上での不安を払拭するために、実際の手順や便利な方法、LPOにより成果を出した企業をご紹介します。. ファイブフォース分析の5つの競争要因ごとにわけると、次のようになります。, 35項目ともなると、かなりのボリュームですね。 また、消費財であっても、富裕層は価格に対してそれほど敏感ではないことが知られているのです。, 仕入れ先である売り手の製品・部品が、顧客満足度に大きくかかわる場合、買い手の交渉力は高くなります。, たとえば、PCの性能は搭載しているマイクロプロセッサと基本ソフト(OS)に大きく左右されます。PC業界ではウィンテルともよばれる、マイクロソフト社のウィンドウズとインテルのマイクロプロセッサの組み合わせが事実上の業界標準となっていますね。最終ユーザーがウィンドウズが使えなければ購入しないというのであれば、ウィンドウズ以外のOSを採用することは難しく、PCメーカーのマイクロソフトに対する交渉力は弱くなります。同様に、搭載するマイクロプロセッサの性能によって、PC全体の性能が決定的に変わってくるため、インテルに対する価格交渉力も低くなるのです。, 売り手とは、自社の製品・サービスを提供する上で、必要な部品等を調達する仕入れ先などがこれにあたります。 利用者は高速道路料金を支払わず、ガソリン代だけでどこへでも移動できるようになったのです。 分析業界に対して悪影響を与えれば+1点づつ加点してきましょう。
簡単に業界から撤退できない場合、たとえ収益が下がっても事業を継続し続けなければならなくなるのです。, 新規参入企業が増えるほど、業界の競争は激しくなります。何度も話している通り、業界の競争が激しくなると、利益は少なくなっていきますよね? ファイブフォース分析の供給者の脅威を知るためには、以下の4つの要素について調査しておく必要があります。 3.顧客の交渉力.
産業の成長率が高ければ、利益を目的とした多くの企業が参入してくるのです。, これは「既存企業での対抗度」の市場成長率とトレードオフの関係にありますね。市場の成長率が高ければ、既存企業との競争は緩やかになる反面、新規参入企業は増加します。逆に、市場成長率が低ければ、既存企業との競争は激化し、新規参入企業は減っていくのです。, 製品の購入者である買い手の交渉力が高い場合、値引きなどの要望にも応えなければならないでしょう。 代替品の脅威 以上の5つが業界の収益に影響の与える要因と考えられています。 ファイブフォース分析では、同業他社 … ファイブフォース分析の有用なのは、業界の競争関係を、単純に競合他社の分析だけにとどめていない点です。 5つの観点から業界の環境分析を行うフレームワークをファイブフォース分析と言います。どの要素も、企業や個人が、業界内で生き残るためには、考慮すべきものばかりです。ファイブフォース分析の概要を復習しながら、企業事例を用いながら説明します。 たとえば、近年政府より実施された、高速道路無料化という制度は、自動車の長距離移動に関するコストパフォーマンスを大きく引き上げました。 新規参入の脅威 3. 売り手の交渉力 5. 経済学・経営学やマーケティングの知識について調べているがよく分からないと悩んでいませんか?, 【ビジネス用語】アップルトゥアップル(Apple to Apple)の意味と使い方. © Copyright 2020 たかぴーの経済・経営学教室. 特にどの企業にとっても戦略的な価値が高い事業であれば、業界の収益は低くなるのです。, すでに当該業界に参入している企業が業界から撤退するのに、様々な障壁を乗り越えなければならない場合があります。 変化の激しい近年では、今日の競争状況が、明日まで続くという保証はありません。ファイブフォース分析は、時間経過を意識せずに、ある一時点での競争状態を分析しているので、今の分析結果と翌年の分析結果では大きな違いがでることが予測されるのです。, 事業的単位とは、どの製品までをひとつの業界とみなすのか、ということです。
シティホテルの業界構造を5つの力(5Forces)分析を利用してみてきました。 シティホテル業界は参入障壁は装置産業の特質としてやや高いものの、外資系ホテル等が再開発に伴って市場が縮小傾向にある日本のシティホテル業界に続々と参入している。
たとえば映画鑑賞と遊園地は代替関係にあるといえるでしょうか? 5つの力(ファイブフォース)の事例. したがって、前述した買い手交渉力を決定する各要因は、関係を逆転させると、そのまま売り手の交渉力を決定する要因になります。そのため、ここでは各要因についての説明を省略します。, 代替品とは、自社製品・サービスが満たしている顧客ニーズを、それとは異なるアプローチで満たす製品・サービスでです。 企業が利益の出すためには、買い手の交渉力が低いほうが望ましいでしょう。 業界分析を行なう際、今回紹介するひとつひとつの項目を漏れなくチェックすることで、よりよい分析結果が得られることでしょう。, 企業は完全競争状態を望みません。企業の目的は利潤の追求にあるためです。
たとえば、近年のデジタルカメラ市場はコンパクト型と一眼レフ型とに大きく分類されています。分析対象となる業界として、コンパクトのみを選んだ場合と、コンパクトと一眼レフの双方を含んだ市場全体を分析単位に設定した場合では、分析の結果は大きく異なることが予測されるのです。, 分析対象の業界はどのように定義され、どこまでがその業界に含まれるかについても、ファイブフォース分析にあたって、十分に注意が払っておく必要があります。, ファイブフォース分析は、理論的には単純なようにみえますが、本気で取りかかるとかなり骨の折れる作業となりますね。 ファイブフォース(5フォース)分析とは、競合各社や業界全体の状況と収益構造を明らかにし、その中で自社の利益の上げやすさを分析するフレームワークです。ファイブフォース分析の方法と、有効な活用法を解説します。 フレームワークを利用する際は、注意点・問題点を認識していないと、ひとりよがりな分析となってしまいます。 このような場合、買い手である顧客にとってはどこから購入しても大きな違いにならないため、買い手の交渉力は高まります。, コモディティ製品の場合、品物自体に違いがないなら、一番安いもので構わないと考えられやすく、売り手が高いマージンを設定することは困難になります。逆に差別化された製品・サービスの場合、価格が多少高くてもそれが欲しいと考える顧客を相手にするので、収益の確保が容易になります。, ある製品・サービスから他のモノに変更した場合、様々なコストが発生することがあります。金銭的コスト・物理的コスト・心理的コストと3種類のコストが発生しますが、これらのコストが発生するために、顧客はなかなか他製品に移ることができないのです。 たしかに「娯楽」「デートの行き先」としては競合関係にありますが、それぞれで得られる楽しさは全く異なるものに感じられます。 既存企業間の対抗度 2. このような状態では、買い手の交渉力が低いとみなすことができますね。, 買い手が卸売業者や小売店であった場合、彼らが最終ユーザーの購入の意思決定をできるのであれば、交渉力が高いといえます。, 多機能携帯電話端末のように複雑な商品、あるいはペットボトルの緑茶飲料のように顧客が強いブランド選好を持たないコモディティ製品については、最終消費者の購入意思決定に対して、小売業者や卸売業者がかなりの程度影響を与えられます。どれがよいかわからない、あるいはどれでも構わないという最終顧客に対して、販売員がこの製品はこの点が特に優れているという情報を提供したり、値引きやサービスの対象に指定することで、売り上げが伸びる場合がある。こうした場合、メーカーは流通業者に売ってもらう立場になり、販売価格を引き下げたり、値引き販売の為のリベートを支払ったりする必要がでてくるのです。, 仕入れ先である売り手の部品価格が、自社の販売価格に占める割合として大きいとき、買い手の交渉力は高くなります。, たとえばPC製造におけるマイクロプロセッサのように、他の部品に比べて高額なためコスト構成比が高い部品について、値下げ交渉に成功すると製品コストは大幅に低下します。マイクロプロセッサの仕入れ価格が全体のコスト構成のうち60%を占めていたとして、購入価格の10%の引き下げに成功すれば、製造原価は一機に6%低下することになります。コスト構成比が低い他の部品で、これに相当する原価削減効果を得ようとすると、かなり難しいのです。, 部品の購買コストは最終製品の利益に直結するため、利益水準の低いメーカーは購買コスト削減に必死に取り組みます。逆に、利益水準の高いメーカーの場合、購買コストに敏感でないケースが見受けられます。
つまり、需要が減少すれば生産過剰となり、需要が増加すれば機会ロスが生じるのです。
点数の合計が高ければ高いほど、その業界では利益が出しにくいといえます。, 合計点数は35点となります。平均の17点を越える業界は利益の上げにくい業界といえそうですね。 気になる方はチェックしてみてください。, 固定費は万が一、工場などの操業を停止しても発生します。固定費が大きい業界では、たとえ赤字だっても過去の投資を少しでもキャッシュとして回収しようとするため企業が存在します。その企業が一度価格を下げられてしまうと、他の企業も価格を下げざるをえません。なぜなら、競合他社も高い固定費を支払わなければならず、少しでもキャッシュが欲しいからです。 結果として、政策が施行されている間、新幹線の利用客が大きく減ったのは言うまでもありません。, 代替品を提供している業界の利益率が高い場合には、そこでの収益を原資にして、代替品の普及促進のための大規模なキャンペーンを展開したり、販売促進費を大量に投入して、低価格販売を行ったりすることができます。逆に、代替品を供給している業界の利益率が低い場合には、自社が提供する製品・サービスと代替品との激しい競争が起こりにくく、業界の潜在的収益性が悪化することは考えにくいのです。, 一般的に、市場成長率が高ければ、代替品を提供している業界の利益率は高くなり、製品の品質も向上していきます。また、製品の普及が拡大するにつれ、価格も下がっていくことでしょう。 All rights reserved.
YouTubeチャンネル:たかぴーチャンネル. そのような状態で, ファイブフォース分析は、5つの要因を分析するためにチェックすべき項目を掘り下げる必要があるのです。, まずは一覧でチャック項目をみてみよう。 結果的に、価格はどんどん下がっていき、業界の利益は出にくいものとなってしまうのです。, 差別化された製品を購入している顧客は、たとえライバル企業が提供している製品の価格が低下したとしても、乗り換えることを考えません。なぜならその顧客は、価格以外の基準で製品の購入を決定しているからです。
このような経営資源が既存企業に乏しければ、新規参入により既存企業を駆逐するチャンスと捉えられるでしょう。, 既存企業が豊富な経営資源、特に投資資金を保有する場合、新規参入業者に対して激しい反撃をしかけてくる可能性が高まります。反対に、既存企業が資源に乏しい場合には、反撃を行いたくても資源制約から実行不可能になることもあります。, 市場の成長率が低いと、限られたパイを奪い合うことになり、競争が激化しやすいです。逆に市場の成長率が高ければ、新規参入企業でも顧客を多く獲得するチャンスがあると考えられるでしょう。 ファイブフォース分析では、強い交渉力をもつ顧客も市場競争上の脅威と考え … それでは、買い手の交渉力を高める要因をみていきましょう。, 買い手の数が増えると、数を背景にした交渉上のパワーが強くなる。最終消費財のように買い手が多数で分散している場合と、産業材のように買い手が少数でなおかつ買い手ごとの購入量が大きい場合を比べると、後者の方が価格交渉力が強く値引き要求が通りやすくなります。
さて、これから基本的にひとつひとつの項目について詳しく解説していきますが、リストを一読して内容が理解できる項目は読み飛ばしてもらっても構いません。, チェック項目の詳しい中身を見ていく前に、このチェックリストの使い方について触れておきます。, ファイブフォース分析を行なう際、上にあげたチェック項目に該当する業界かどうかをみていきます。 しかし、真面目にひとつの業界の分析をかけると、業界の中でうまく立ち回れている企業と、そうではない企業がみえてくることでしょう。, また、勤務先の会社が属している業界を分析する場合には、自社がどこに力を入れていくべきなのか、判断できるようになるかもしれませんね。, いずれにしても、ファイブフォース分析を行なう際は、注意点にも配慮すると、分析結果だけにとらわれない、柔軟な経営判断が大切なのかもしれません。, このサイトでは経済学・経営学の基礎的な知識や、ビジネス全般の情報について解説していきたいと思います。, 少しでもお役にたてれば嬉しいです!